手紙を送る楽しみ


 手紙を最後に書いたのは、いつですか?

 私は、文通が趣味です。かれこれ中学生の時から、ずっとやり取りをさせていただいている恩師がいます。その先生との文通について、今回はおはなししましょう。

 私は、当時美術部の一員で、先生はその顧問でした。私が中学校を卒業した数日後、その先生からお手紙が届きました。当時の私は、手紙なんて友達とメモ紙でしか、やり取りの経験がありません。速達であったのもあり、びっくりしてすぐに返事を書きました。その先生との「美術」という同じ興味の共通点が、ここまで文通が続いた一因だと思います。私が帰省をすると、必ずどこかのタイミングでお会いして、一緒に美術館へ行ったり、お茶したりして美術を二人で楽しみます。先生にとって、私は40歳以上歳が離れているので、ある種孫のような存在なのかもしれません。(私はそれくらい親しく思って、お付き合いさせていただいております。)季節の便りや、美術館へ行くとその時のパンフレット、購入したポストカードを贈り合います。お互いに離れた地域に暮らしているので、その地の美術の様子が知れて楽しいのです。

 秋になると、先生は私に銀杏を贈ってくださいます。これは、私の大好物で、それを伝えると「自分の庭で採れたものです」と小包を毎年送ってくださるようになりました。銀杏は、ご存じの方もいるでしょうが、種は(匂う、という表現はストレートすぎますが)実で守られていて、それを洗って干す必要があり、拾ってすぐ食べれる代物ではありません。実を洗い、きれいに乾燥させてから、箱に入れて大事に送り届けてくださいます。もったいなくて、すこしずつ1日ずつ、文字通り噛みしめながら味わっています。こんなに手をかけて、わざわざ贈るというその手間を惜しまないのが、先生の美しいお人柄だと思います。写真の銀杏は、実際に先生が私に送ってくださったものです。手紙は、その人の筆跡も考えもダイレクトに便箋から伝わってきます。読むときや書く時、メールやLINEとは違った時間が流れていきます。あえて、この一瞬で通信できる世界で、筆記用具を準備して便箋に向かってみてはいかがでしょう。手紙に添える品を考えるのも、その人を想う楽しいひと時になります。

今日のお話はこの辺で。また、私とおはなししましょう。


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